広島高等裁判所松江支部 昭和26年(う)127号 判決
刑法第百九十七条ノ四は賄賂収受罪の成立する場合において公務員又は仲裁人の収受した賄賂を没収し、これを没収することができないときはその価額を追徴すべきことを規定するに止まるが故に公務員又は仲裁人が賄賂の申込を受けたけれどもこれを収受しない場合においては本条を適用してその賄賂を没収し又はこれを没収することができないことを理由としてその価額の追徴をすることはできないと解すべきである。されば原判決が押収にかかる商品券中九百九十円消費せられたもの一枚(証第六号)は被告人等が原判示第一(一)の賄賂の申込に使用したものである事実を認めて右賄賂について前記法条を適用してこれを没収し更にその他の商品券はいずれが右賄賂の申込に使用せられたものであるか見分けがつかないことを理由としてその使用された二十一枚分の合算額四万二千円を前記法条により被告人等より追徴したのは所論のように法律の適用を誤つた違法があるもので、右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。されば論旨は理由があり、原判決中被告人等に関する部分はこの点において破棄を免れない。